ロシアは参政党を非常に好意的に見ている

――選挙介入の意図がないのであれば、なぜスプートニクはさや氏に取材オファーをしたのでしょうか。

 参政党がロシアで非常に注目されているからです。ロシア人は安全保障問題に敏感で、隣国であり極東方面の戦略的重要位置にある日本への関心は、特別なものがあります。その日本で、最近まで聞いたこともなかった党が有力政党として急進していれば、当然読者のニーズは高い。

 ロシアが気にしているのは、日本が今後自国にとって脅威になるのか、友好国になるのかという点です。だからこそ、将来的に在日米軍基地をなくすべきだと主張している参政党のことを非常に好意的に見ている。党として反グローバリズムを掲げている点でも、「日本においてプーチン大統領的思想が支持される素地ができたのは?」と期待感を持っています。

 私は駐日ロシア大使館の外交官らとも親交があるのですが、昨年の衆院選で参政党から3人の候補が当選した際、彼らからお祝いの言葉が届きました。「シノハラが関わっている党の勢いが増したのは良いことだ」と。もちろん、参政党の主張をきちんと理解した上での発言です。

――今後、ロシアが参政党に接近する可能性もあるのでは。

 それは十分考えられます。しかし、参政党を応援するのであれば、あからさまなプロパガンダではなく、日本政府に向けて何かしらのメッセージを出すという手法を取るでしょうね。ロシア政府はよく、自国の研究者の筆を借りて間接的に意向を主張してきます。特にロシア外務省と連携した研究機関やシンクタンクが発表する論評は、政府の見解を代弁していることが多い。参政党がどのように評価・分析されているのか、日本の外務省やロシア事情の情報通はアンテナを張っていると思います。

(AERA編集部・大谷百合絵)

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