味の素「お米ふっくら調理料」。ベーキングパウダーのようだ=米倉昭仁撮影
味の素「お米ふっくら調理料」。ベーキングパウダーのようだ=米倉昭仁撮影

炊飯器を開けた瞬間に独特の香り

 ワクワクしながら炊飯器を開けた瞬間、「うわっ」。両方ともいつもの、おいしそうなご飯の香りとは全く違う。これが古米臭か。家族にも協力してもらい、食べ比べた。

 まずは①の普通に炊いた備蓄米。確かに若干かたいが、炊きたてなので、パサつきはそれほど気にならない。だが、「おいしい」という声は家族の誰からも上がらなかった。理由は古米臭だ。アツアツのご飯を口に入れるたび、臭気が鼻に抜けるのだ。味や食感以前の問題か。

 一方、お米調理料を入れて炊いた②のご飯は、水分量が多いためか、つやがあった。

「とりあえず見た目は、おいしそう……」(妻)

「あっさりした、素朴な味」(10代の息子)

①の米と比べて、やや粒立ちして、もっちりしている。米の甘みは感じやすい気がした。

左の「お米料理料あり」は、右の「なし」と比べて、やや粒立ちして、もっちりしている=米倉昭仁撮影
左の「お米料理料あり」は、右の「なし」と比べて、やや粒立ちして、もっちりしている=米倉昭仁撮影

冷や飯でこそ効果が歴然

 炊飯後、時間が経つとどうか。一般に、炊き上がり当初は、ご飯はでんぷんがアルファ化した状態だが、次第に水分が抜けてベータ化していく。「でんぷんの老化」といわれる現象だ。でんぷんが老化した米は、食感が落ち、黄ばんだりする。

 味の素によると、お米調理料はでんぷんの保水力を向上させることで老化を遅らせ、食感を維持する働きがある。炊き上がってから時間が経つと、その効果がよくわかるという。

 そこで、炊き上がったごはん2種を保存容器に移し替え、約6時間常温保存した後、再び食べ比べてみた。

 普通に炊いた①の冷や飯は、冷めるとポロポロと粘り気がなく、明らかに硬くなっている。

 一方、お米調理料を入れて炊いた②の冷や飯は、少しベタつく感じはあるが、もっちりした感じは残り、粘りもあった。

 妻は「これなら食べられる」と評価。確かに、冷えると古米臭も気にならなかった。

米穀・米飯指導者を養成する「五ツ星お米マイスターProf.」の資格を持つ牧野基明さん=米倉昭仁撮影
米穀・米飯指導者を養成する「五ツ星お米マイスターProf.」の資格を持つ牧野基明さん=米倉昭仁撮影

グレード「お米調理料」で補う

「お米調理料」はもともと、「長時間、炊飯器の中で保温しておくと、ご飯がパサつく」「弁当やおにぎりのご飯は時間が経つと硬くなる」といった課題を解決するために開発された商品だ。

「長い時間おいしく食べられるので、フードロスの削減にもつながる」(味の素の担当者)ともいう。

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