
ヤクルトが7月25日、フィリーズ傘下2Aレディングから自由契約になった青柳晃洋の獲得に向けた交渉を進めることを明らかにした。青柳は昨年オフに阪神からポスティングシステムでフィリーズとマイナー契約を結んだが、メジャー登板なし。憧れのマウンドに立つことは叶わなかったが、阪神時代の2021、22年に2年連続最多勝に輝くなど実績十分だ。ヤクルトは前半戦を終え、借金22でどん底の最下位。チーム防御率はリーグワーストの3.56で先発陣のコマ不足が深刻だった。補強期限が7月末に迫る中、青柳は補強ポイントに合致する。
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「古巣の阪神は先発、救援陣が充実している上に支配下枠の70人が埋まっているため、補強ができない。青柳は横浜出身で、お母さんがヤクルトレディとして働いて青柳を育てたことは有名な話です。大きな覚悟を持って挑戦したので、メジャーの舞台でプレーしたい思いは今もあると思いますが、フィリーズのマイナーで試行錯誤を続けた投球を見ると、米国の他球団に移籍してメジャー昇格は現実的に厳しい。日本球界復帰が現実的な選択肢になるでしょう」(スポーツ紙デスク)
古巣阪神への復帰ではなく、ヤクルト入団が決定的という状況だが、阪神ファンの反応は温かい。関西のテレビ関係者はファンの思いを代弁する。
「阪神ファンは青柳に特別な思いがあります。今のように先発陣が盤石でなく、リーグ優勝になかなか手が届かなかった時期に先発で奮闘してくれた。阪神が優勝した23年は8勝止まりと苦しみましたが、オリックスと対戦した日本シリーズ第7戦では5回途中無失点の力投で、宮城大弥との投げ合いを制して38年ぶりの日本一に輝く原動力になりました。器用ではないけど、努力家でコツコツと階段を上ってきた。米国でもう少し頑張ってほしい思いはありますが、ヤクルトに移籍したとしても応援するファンが多いと思います」
ヤクルトの本拠地・神宮球場は狭くて打者有利の球場と言われているが、青柳は阪神時代に神宮球場で通算15試合登板し、7勝4敗、防御率2.66の好成績を残している。セ・リーグ他球団の打撃コーチは「神宮のマウンドは傾斜が低いので、上から投げ下ろす投手は角度がつきにくいけど、青柳はアンダースロー寄りのサイドスローという変則的な腕の振りから浮き上がるような直球を投げ込んでくる。スライダー、ツーシームも途中まで直球に見えるので打者は対応が難しい。神宮球場にマッチした投手ですね」と分析する。