同じサイドスローだった高津監督

 ヤクルトに入団すれば、現役時代にサイドスローの抑えとして活躍した高津臣吾監督の助言を受けられることも大きなプラスになる。帝京大で同学年だった塩見泰隆もいるため、チームに溶け込むのに時間はかからないだろう。昨年まで阪神でプレーしていたので、セ・リーグ各球団の主力打者の特徴を把握していることも強みだ。

 ヤクルトの先発陣を見ると、チーム最多の白星を挙げているのが吉村貢司郎で4勝。開幕投手を務めた奥川恭伸が1勝、軸として期待された小川泰弘、高橋奎二は共に2勝にとどまっている。先発の頭数がそろわない苦しい状況で、青柳が加入すれば、早い段階でチャンスが巡ってくる可能性が高い。

 セ・リーグ他球団の編成担当は警戒を口にする。

「阪神時代の23、24年は本来の投球ができていなかったですが、制球を気にしすぎて慎重になりすぎていたよう見えました。もっと大胆に腕を振ってストライクゾーンに投げ込めば、まだまだ先発の第一線で活躍できる。31歳という年齢を考えればこれからパフォーマンスが上がってきますし、環境を変えて活躍できる可能性が十分にあります」

 そして、「個人的に言えば、DeNAが獲得した藤浪晋太郎より青柳の方が厄介ですね。勝つ術を知っている投手のイメージが強い」とも話す。

 藤浪と青柳は共に阪神のエースとして活躍し、その後に1軍定着できずにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦したという共通点がある。ただ、藤浪は高卒1年目から3年連続2ケタ勝利をマークし、制球難を克服できずに17年から1軍の登板機会を減らしたのとは違い、青柳は不調の時期が長くない。

 阪神の球団OBは「復活の可能性が高いのは青柳でしょう。藤浪の潜在能力が高いのは間違いないですが、米国でも制球難を解消できていない。DeNAで活躍できるかと言えば未知数です。制球力が劇的に改善されれば、期待以上の活躍をする可能性があるとも言えますけどね。青柳は米国で救援登板がメインでしたが、適正は先発です。長いイニングを積み重ねれば、感覚を取り戻していくと思います。肩、肘に大きな故障もないので戦力として計算しやすい」と指摘する。

 青柳は米国で過ごした半年間が野球人生の大きな糧になるだろう。最下位に低迷するヤクルトのカンフル剤になれるだろうか。

(ライター・今川秀悟)

こちらの記事もおすすめ “どん底”最下位ヤクルト 次期監督に古田敦也氏の再登板あるか 球団OBは「絶対に強くしてくれる」
[AERA最新号はこちら]