EF70-300mm F4-5.6 IS II USM
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低価格望遠ズームは高速AF

フルサイズ対応のEFレンズ中では最もリーズナブルな価格で焦点距離300ミリをカバーするズームレンズ、EF70-300mmF4-5.6IS USMが発売から約11年を経てII型にモデルチェンジした。

 AF高速化と動画撮影時の滑らかな駆動を実現するためにレンズ内のモーターにはナノUSMを採用し、手ブレ補正機能も約4段分の補正効果へと強化。レンズ構成はUDガラス1枚使用という点は前モデル同様だが、10群15枚だった構成を12群17枚の新設計で一新している。これにともない最短撮影距離は30センチ短縮されて1.2メートルと少しだけ寄りが利くようになった。また鏡胴サイズは数ミリ長く太くなり約80グラムの重量増。フィルター径も67ミリになっている。

 EFレンズで初搭載となる鏡胴の液晶表示部は撮影距離、焦点距離、揺れ量の3種類が選択可能。APS-C機に装着したときは35ミリ判換算の焦点距離が表示されて便利かもしれない。ただし、目盛りの刻みはズームリング上にプリントされたそれと変わらないので、そちらを読み取ったほうが早く、必要性を感じない。せっかくなら1ミリ単位で表示してほしかった。

 また手ブレ補正機能用センサーを利用してカメラの上下・左右方向の揺れ量を表示するモードは、手ブレ補正の利き具合との関連性はなく、そもそも撮影時にこの表示をファインダー像やライブビューと同時確認できるわけではなく実用性に乏しい。電池消費量はわずかなのかもしれないが、いっそなにも表示しないという選択肢があってもよいと思う。

 実写での撮影は、ナノUSMのAF駆動が俊敏かつ静粛で実に軽快で心地よい。描写力は廉価版レンズなりのあまさはあるが、輝度差の激しいエッジ部分に発生しがちな色収差も良好に補正しつつ、近景から遠景描写まで解像感も思いのほか上げてきているし、9枚になった絞り羽根により望遠側の近距離撮影で得られるボケ味はマイルドだ。いざという時のために携行する望遠ズームとしては望遠端300ミリという点でも頼もしい存在だと思う。

 70~300ミリという仕様のラインアップはLレンズ、DOレンズと本レンズの計3本体制に変わりはない。しかし、Lレンズはさておき、2004年発売で本レンズの約2倍の価格のDOレンズの陳腐化は避けられず今後の動向が気になる。

カメラ側の「レンズの光学補正」で周辺光量補正をONにしておけば、ワイド端でも画面周辺が目に見えて暗く落ちる心配もなく絞り開放で撮影できる●70ミリ時・EOS 5D MarkIV・AE(絞りf4・2000分の1秒)・ISO100・AWB・RAW
フードがなくても、太陽直接や水面の強い照り返しなどを画面に配置しなければ画質が大きく損なわれるようなことはなかった。開放でも画面の隅で像が流れることもなく良好に解像している●70ミリ時・EOS 5DMarkIV・AE(絞りf5.6・125分の1秒・+0.7補正)・ISO100・AWB・RAW
動き回れない撮影では、ズーム操作だけで演者の一人をクローズアップするのに300ミリは余裕があり心強い。撮影位置は変えずにズーミングだけで構図を稼げる。望遠端200ミリならもの足りなさを感じたはずだ。最短撮影距離くらいから数メートル程度の近距離撮影時のシャープな描写は満足感が高い●256ミリ時・EOS 5D MarkIV・AE(絞りf5.6・160分の1秒・+0.7補正)・ISO100・AWB・RAW

◆宇佐見健

●焦点距離・F値:70~300ミリ・F4~5.6●レンズ構成:12群17枚(UDガラス1枚)●画角:34°~8°15'●最短撮影距離:1.2メートル●最大撮影倍率:0.25倍(300ミリ時)●フィルター径:φ67ミリ●大きさ・重さ:φ80×145.5ミリ・約710グラム●価格:税別7万2000円(実売6万4350円)●URL:http://canon.jp/

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