大和証券の橋詰大輔氏(photo 加藤裕則)
大和証券の橋詰大輔氏(photo 加藤裕則)
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 自民と公明が議席を大きく減らし、国民民主と参政が躍進した参院選。22日の金融マーケットは比較的、落ち着いた動きを見せた。日経平均株価をみると、午前中は株高で推移し、一時4万円の大台を超えた。午後から利益確定売りなどで下げに転じた。政権運営の不確実性が高まるなか、マーケットの動きや、今後の経済政策の注目点について、大和証券シニアストラテジストの橋詰大輔氏に聞いた。

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 ――22日のマーケットの動きをどのように見ますか。  

「確かに自民党は負けましたが、事前に報道されており、その想定通りだったと言えます。都議選と同様、苦戦はするだろうという予想で、市場が新たに悪い材料を織り込むという状態ではなく、それを確認したという形だったと言えます。また、石破茂首相が21日に会見し、退陣する意向はないと言い切った。財政や金融政策が大きく変わることはないだろうという判断で、売る材料にはならなかった。もちろん、新たに買う材料にもならなかった。朝の株高の反応は、選挙がどうなるかわからないので、保有株を少し減らしていた投資家が朝に買い戻した結果でしょう」

 ――明日以降の展開をどう見ていますか。

 「短期間で変化するとは思っていません。もちろん連立の枠組みを広げていくのでしょうが、どことどう組むのか、野党の党首のコメントからも見えてきません。立憲民主も躍進したわけではなく、短期間で政権が大きく変わる様子はないと考えています」

 ――米国との関税交渉で、石破政権の弱体化が不安視されています。

 「いろんな見方があると思いますが、選挙前のため、コメと自動車では譲れなかったのでは、と見ています。つまり、選挙が終わり、石破政権は比較的、譲歩しやすい状況になったという見方です」

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