ラミレス氏は2016年からDeNA監督を5年間務め、3度のAクラス入り、17年はリーグ3位から勝ち上がって日本シリーズ進出も果たした。データ重視、投手を8番に置くなどの柔軟采配は話題となった。また現主力の佐野恵太などを育て上げたことでも知られる。

「辻氏は現場に立つことを喜びと感じている。常勝・西武で現役引退せずヤクルトでプレーしたのも現役に拘ったのと共に、野村克也監督(当時)の下で勉強したかったから。現役、コーチ時代を通じて培ったものを、監督として表現したいはず」(元ヤクルト関係者)

 辻氏は現役引退後からヤクルト、横浜(DeNA)、中日でコーチを務め、2006年ワールド・ベースボール・クラシックでは内野守備・走塁コーチ(三塁ベースコーチ)を任された。2017年からは西武監督を6年間務め、優勝2回、Aクラス5度の成績を残した。

 監督交代の可能性がある4球団中、ロッテに関しては「サブロー・ヘッドコーチの昇格濃厚」と見られる。その他のヤクルト、DeNA、楽天の3球団に関しては、「ラミレス、辻氏のどちらも監督就任可能性はある」という。

「両氏ともにヤクルトとDeNAは選手、コーチ時代に在籍経験がある。また楽天・石井一久GMとはヤクルト時代に共にプレーしている。両氏には太いパイプが各方面にあるので、声がかかっても不思議ではない」(スポーツマネージメント会社関係者)

「カズさん(石井GM)は投手、野手の垣根を越えてチームメイトと良好な関係を築いていた。優しく、マメな人なので、退団後も関係性は壊れていないと思う。育成手腕を評価している三木監督に再度2軍を任せ、ラミレス、辻氏のどちらかを招聘する可能性はある」(元ヤクルト関係者)

 12球団に1個ずつしかない1軍監督のイスは、野球人にとって憧れの場所だと言える。その気があっても声もかからない人の多い中、常に名前が挙がる両氏への評価の高さが改めてわかる。

「政治的なものなど、しがらみ”はあるだろうが早い段階で監督になって欲しい2人」(スポーツマネージメント会社関係者)と多くが口にする。ラミレス氏、辻氏の来季監督就任があるのか、は今後の楽しみの1つにもなりそうだ。

(文・スポーツライター 田中雄也)

田中雄也/元高校球児で大学卒業後は出版社に勤務後、独立してフリーのライター・編集者として活動を開始。スポーツを主としながら、音楽、ファッションなどのカルチャーやライフスタイルに関する編集・執筆活動も行っている。現場や人物に密着した取材を得意とし、選手の言葉や背景に深く光を当てるスタイルに定評がある。

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