
衆議院に続き、参議院でも与党過半数を割る大敗を喫した自民党。石破茂首相の退陣が予想されていたが、石破首相は参院選当日のテレビで「続投」を認め、翌7月21日の記者会見で改めて「続投」を表明した。
石破首相は会見で、
「参院選で極めて厳しい国民のご審判をいただいた。自民党、公明党、多くの同志の方々が議席を得られなかったことは痛恨の極みだ。この結果は謙虚に真摯に受け止めなければいけない」
と神妙な表情で話し始めたが、
「政治には一刻の停滞も許されない、比較第1党の責任を果たしていかなければならない。引き続き公明党と連携して政権運営にあたっていく」
と政権運営を続ける意向を明確にした。
「続投」と言ったときはひっくり返った
石破首相のこの日の記者会見は選挙中の7月18日に設定され、メディアに連絡された。当時すでに自民党に厳しい情勢調査の結果が伝えられ、与党過半数が厳しいという見方も出ていただけに、
「選挙結果が出る前に辞任を決めたんだ、石破首相、潔い、白旗あげたと思っていた。それが続投だと言ったときは、本当にひっくり返った」
と話すのは、閣僚経験もある自民党衆院議員A氏だ。
自民党が衆参両院で過半数を割る少数与党となったのは、1955年の結党以来初めての事態。しかも、衆参いずれの選挙も石破首相のもとで大敗している。それだけに自民党内でも、まさかの「続投」宣言だった。
石破首相が今後、政権を安定的に運営していくために、一番手っ取り早いのは野党との連立だ。石破首相も記者会見で、
「公明党以外の他党とも真摯な議論を通じ、一致点を見出し、国難を打破したい」
と、自公に加え他の野党との連立をうかがわせる発言もしていた。
「石破政権は泥舟です」
しかし、昨年の衆院選から今年の東京都議選、参院選と、主要選挙で負け続けている石破政権だけに、野党からは連立に否定的な声が出てくる。
立憲民主党の幹部はこう話す。
「石破政権は泥舟です。せっかく参院選で野党はそれなりの数字を出したのに、自民党と連立を組んで解散総選挙になれば、一気に落選者の山です。それより自民党が地に落ちている間に野党連携で石破政権、自民党を倒せる態勢を築きたい」