B氏は党内事情を踏まえてこう話す。
「石破首相が日米関税交渉など喫緊の問題があるとして居座れば、9月末の臨時国会まで現状のままというのもありうる。そこで野党が内閣不信任案で対抗するなら、石破首相は解散・総選挙という流れになるでしょう。ただ、衆院選は去年やったばかりで、『解散総選挙は勘弁して。できればうまく野党と連立を』という声が多いのも事実。それに今、総選挙をしても、参政党や国民民主党の攻勢には勝てません」
そしてB氏はこうも話す。
「政策ごとに野党と相談して応じてもらうと石破首相は言っている。衆参どちらも少数与党で、そんな悠長な考えは無理だろう。具体的にこの野党と話がついているというくらい、言い切れないとダメ。それならスパッと辞めてもらい、総裁選というほうが党勢回復になるのだが」
前出の国民民主党の衆院議員はこう話す。
「今回の参院選で自民党に加えて公明党も急落した。次、解散・総選挙となれば、政権交代は間違いない。石破政権と組んで1つ閣僚ポストをもらうくらいなら、野党が結束して政権交代したほうがいい。閣僚ポストだっていくつも増える。これまでばらばらでまとまりがないといわれた野党だって、閣僚ポストがいくつも見えて、うまくいけば総理の椅子もとなれば、まとまれるはずだ」
「普通なら野党ひとつくらいは引き込める」
自民党で長く政務調査会調査役を務めた政治評論家の田村重信氏は、「自社さ」「自自公」の連立政権に裏方としてかかわってきたこともある。田村氏はこう話す。
「私の経験からいうと、選挙の時は野党もいろいろ言うが、終われば政策実現のために、与党になりたいものです。与党に入って、政策を実現させてナンボ。普通なら自民党が上手に交渉すれば、野党ひとつくらいは引き込める。事実、自民党はそうやって危機を切り抜けてきた。しかし、石破首相がこれだけひどく落ち目になると、野党もそう簡単には乗ってこないでしょう。選挙に2回も続けて負けたら責任をとらないといけない。私も石破首相は『続投』ではなく、区切りをつける会見だと思っていたが、これで正直、石破首相はますます苦境に陥りそうだ」
(AERA編集部・今西憲之)
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