この夏は初戦の高朋戦で先発を任されると、試合中盤で脚を攣った影響で途中から外野に回ったが、6回を投げて被安打5、7奪三振で無失点という見事な投球で試合をつくった。
テイクバックで少し左肩が下がるフォームは大竹耕太郎(阪神)と雰囲気が似ているが、そこからスムーズに肘が高く上がり、しっかりボールを抑え込むことができている。サウスポーらしいボールの角度があり、両コーナーに投げ分けられる制球力も魅力だ。高朋戦では度々140キロを超え、最速は144キロをマーク。ストレートと同じ軌道から小さく沈むチェンジアップも高校生レベルではなかなか見ないボールであり、スライダーもスピードは少し物足りなかったものの、ボールの軌道は素晴らしいものがあった。
もともとは外野手であり、打撃と走塁の能力も高い。貴重な大型左腕ということで、リストアップしている球団も多いだろう。
そして3年生のドラフト候補以上に強烈なインパクトを残したのが大阪の2人の下級生だ。
1人目は大阪桐蔭の吉岡貫介(2年)。春まで公式戦での登板はなかったものの、6月の招待試合で150キロに迫るスピードをマークして話題となっていた右腕である。7月15日に行われた星翔との試合で5回からマウンドに上がると、先頭打者にヒットを許したものの、その後は10球ストレートを続けて三者連続三振で試合を締めた。
筆者のスピードガンでは最速153キロをマーク。スピードも2年夏としては規格外だが、手元でホップするようなボールで、バットに当たらない質の良さも特筆すべきものがある。この日の大阪桐蔭の先発はドラフト候補の中野大虎(3年)だったが、ボールの勢いは明らかに吉岡の方が上だった。順調にいけば来年の目玉の1人となる可能性は高い。
もう1人が大阪学院大高1年の林将輝だ。昨年はU15侍ジャパンとしてチームのW杯優勝に大きく貢献。多くの高校から誘いがある中で、近年力をつけている同高に進学したことでも話題となっていた。