「この場で生きてらっしゃるんだな」
「notte stellata」は23年以降も毎年行われ、それぞれの年に羽生は思いを伝えてきた。
23年には内村航平、24年は大地真央、25年には野村萬斎とコラボを行い、この公演ならではの空間を創り上げ、創意工夫とともに力を尽くしてきた。
今年の公演では、場内へ向かってこうメッセージを発した。
「観に来てくださってる方々が、ああやって立って拍手を送ってくださったりとか 声援を送ってくださったりしている姿を見て、『この場で生きてらっしゃるんだな』ということを、この『notte stellata』だからこそあらためて感じられて。僕らが震災のときに立ち上がっていけたように、その絆みたいなものがどんどんどんどん広がっていってくれたらうれしいなという気持ちでいます」
「まだまだ苦しんでいる方もいらっしゃるので、忘れないで、そしてちょっとでもこれがきっかけとなってご支援していただけたら、ほんとうにほんとうにうれしいです。3.11のみならず、能登半島、そしてまた大雪とかで被害に遭ったところもたくさんあります。どうかちょっとでもみなさんのご支援をしていただけたら、ほんとうにほんとうにうれしいなと思います。本日はほんとうにありがとうございました」
そう、24年には能登半島復興支援チャリティー演技会を行うなど、羽生は東日本大震災のみならず、他の地の被災者にも寄り添ってきた。
プロフィギュアスケーターとして、さまざまな挑戦をみせてきた。
出演者は自身のみという史上初の単独公演を敢行し、やはり史上初の東京ドームでの公演、さらには多彩な演出とともに氷上にストーリーを描き出しもした。
アスリートならではの挑戦の一方で、他者を思い、心を寄せてきた姿勢と行動もまた、この3年間にあった羽生の忘れがたい側面である。
(ライター・松原孝臣)
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