
念願の海外移住を実現できたと思ったら、予期せぬトラブルに巻き込まれることも。中でも多いのは詐欺。特に“親切な日本人”には注意が必要だという。
【注目ランキング】1位はビザ申請が殺到のNZ!移住おすすめベスト5はこちら
* * *
富裕層を中心に海外移住をする人が増えている。海外生活への憧れ、子どもの教育、節税など、目的はさまざまだが、念願の海外生活を始めたばかりで、期待と不安が入り交じったときこそ要注意だ。
「海外移住で多いトラブルは、詐欺です。それも、日本人に騙されるのです」
そう語るのは、海外移住コンサルタントの大森健史さんだ。
「ビザの申請を手伝いますよ」
「その業者の言っていることはおかしいから、私が教えますよ」
「英語がわからないでしょ? 一緒に銀行に手続きについて行ってあげるよ」
と言う“親切な日本人”が現れるという。
最初は同行していたのが、「代わりに行くよ」に変わっていく。頼り切ってしまい、その人なしでは手続きができない状態に。気づけば、暗証番号から預金残高まで把握され、勝手に貯金を引き出されることもある。
はたまた、「いい投資案件がある」とお金をだまし取ろうとする人も近づいてくる。
「代わりに物件の管理をしておくよ」と言う親切な人から、「毎回あなたにサインをもらわなきゃいけないから、手間だな。僕の名前でもサインできるようにしていてもらったら楽ですよね」と丸め込まれ、気づけば大事な財産を勝手に売却されていた、なんてことも。
大森さんは言う。
「信頼を得ていた大谷翔平選手の口座からお金を盗んだ水原一平被告の事件と同じ構図は、世界中にありますよ」
海外移住中の不測の事態は、詐欺のようなトラブルだけではない。せっかく永住権や、不動産などを購入するだけで長期居住権が申請できる「ゴールデンビザ」を取得しても、家族の事情で滞在を断念せざるを得ないケースもある。
「大病を患ったご両親の世話が必要になり、帰国する人もいます。同じ理由で、永住権の申請を目指していたけれど、諦めなければならないこともあります」
急な制度変更もたびたびある。2023年までポルトガルの永住権が取れる「ゴールデンビザ」は、5千万~6千万円の不動産を買えば条件を満たしたが、今は8500万円で現地のファンドへ投資しなければならなくなった。
「不動産投資なら所持しているだけでよかったけれど、ファンド投資は非上場企業が含まれているなどリスクが高い。それで、移住先をポルトガルからギリシャに変えた人もいました」
似た話は、オーストラリアにもある。