テレビや新聞の報道では、ダルトン側候補者の構成についての言及が無かった為、北尾、北谷と言う順で紹介されることが多く、多くの株主は候補者全員が北尾氏の心棒者であるとの誤解を生んでいたのである。私と福田氏は、北尾氏の記者会見以降、株を大量保有する複数の企業経営者から、事情説明の機会を得たが、北尾氏と何故一緒に事を起こしているのかとの疑義を受け続け、我々がFMHからの要請により、個々に提出した経営改善案が全くFMHからは開示されていないことにも気が付いたのである。
フジテレビに提出した経営改善のための7つの提言
ここで、私がFMHから4月25日に要請を受け、30日の回答期限までに届けた経営改善の提言がどのようなものであったかを開示したい。
直近の課題として、社会的信用を取り戻し、主に編成、営業、制作を蘇生させることが最重要な株主への責務だと考え、批判の的となっている、番組キャステイングに於ける倫理遵守を徹底し、グループ企業の全役職員に服務規程を明示し、コンプライアンス研修を受講させるべきであると主張、更に、以下の経営改善策を提案した。
1.数年前の早期退職制度により流出した実績あるドラマ・プロデュサーを再雇用、若しくは契約により雇用し、特に知的財産としてライブラリー価値の高い、高視聴率ドラマ・シリーズのプライムタイムに於ける覇権獲得を図ることが重要である。早期退職者にはフジテレビに対して愛着を持ち続けているものが多いと言われ、請われれば局の再活性化に協力する可能性が高い。更に、系列準キイ局や共同テレビなどグループ会社でドラマ制作の能力が高いとされる社員プロデューサーを転職、若しくは出向で迎え入れ、制作機能の向上を図り、ネットワーク営業も代理店依存から主要タイムスポンサーへの直接営業に可能な限り切り替え、編成と連動しながら、カロリーの高い連ドラ枠の再構築を目指すべきである。
2.再放送や番組販売で価値を持たない、お笑い芸人とギャラが比較的安価な若手や高齢タレントを並べてキャステイング、海外のリアリティー番組のビデオ素材を多用する安易な構成により乱造されているバラエティー番組の大幅な見直しと削減を行い、「料理の鉄人」のように再放送や番販、更にはコンセプト権が海外でも販売できる、より戦略的な企画を立案、検討し、番組化すべきである。
3.現行の報道番組は、概ねバラエティー化しており、アナウンサーの役割が、報道のアンカー・パーソンなのか、情報番組の進行役なのか、曖昧である。更に、報道番組で外国人がインタビューに回答したり、トランプ大統領など要人が発言したりするシーンでは、テロップではなく、声優による声色演出が行われ、同様の声色演出が連日、報道番組にも頻用され、信憑性が損壊されていることは否めない。プロンプターを読むだけのアナウンサーではなく、報道記者経験のある社員がキャステイングされる硬派の報道番組でNHKを含む他局に競争を挑むべきであり、演出への偏重と依存を、局の信用回復のためにも、報道番組と社会情報番組の区別を改めて制度化し、報道機関としての機能を改善すべきである。