長い沈黙のうちに電車が池袋駅に着いた。家内とわかれ、いざ仕事に行かねばならぬ。これから上野鈴本演芸場の13時45分上がりだ。なぜなら、私は横浜流星ではなく、春風亭一之輔なのだから。

 そのことに気づかせてくれた、2時間55分だった。

 しばらくして、私が吉沢亮だったらどうだったかも考えてみた。

 どう考えても、私に真似できるのは泥酔して隣の家に入るくらい。それでもやっぱり我が家の便座の裏は汚いままだったろう(隣の家の便座は酔った勢いで掃除してしまうかもしれないけど)。本当に吉沢亮でもなくてよかった。

 とにかく何が言いたいかというと、私は春風亭一之輔。そして、「国宝」はよかった。

 ということです。

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