食洗機を回し、コーヒーを飲もうかと思ったが、「トイレが近くなるからいらない」と家内が言う。「国宝」って上映時間が2時間55分もあるのね。50近いとトイレが心配になるのも無理はない。「事前に餅を食べるといいらしい」「ボンタンアメが尿意を抑えてくれるそうだ」と家内が対尿意情報をくれる。なるほど、コンビニや駅の売店で昔ながらのボンタンアメを置いているのはそのせいなのか。どこに需要があるのか不思議だったのだが「しょんべん抑え」のためだったのか、あの南国銘菓は。
「国宝」のために子供たちより先に家を出る。途中、二人で歩き始めると家内が眼鏡を忘れたといって取りに戻った。「おら、先に行くよ」としばらく駅に向かって歩いていると、眼鏡をかけた家内が自転車でサーッと追い抜いて行く。出かけるときのうちの夫婦あるあるである。駅のエスカレーター前でカミさんが待っている。負けたような気がするのはなぜだろう。
電車を乗り継いで、豊島園駅に。昔、この辺りに住んでいたので最近の変わりように驚く。「駅前のがってん寿司がなくなってる!!」「ずいぶん前からじゃない?」「そうだっけ?」
正体不明の和風インスト
子供が小さい頃、よく家族5人で通ったものだ。そして、まだ全然仕事がなかった頃、家内が働いてるあいだによく昼からビールを飲んでいたものだ。がってん寿司もボーネルンドの遊び場もポポラマーマもひもの屋もスタバも、そして肝心のとしまえんもなくなって、眼鏡をかけた魔法使いのガキ一色の豊島園駅前。がってん寿司の店内に流れていた正体不明の和風インストを鼻唄で歌いながら映画館へ急ぐ。
水曜日のサービスデーだったこともあり満員の客席。
予約しておいてよかった。
上映開始…………そしてあっという間に2時間55分が経った。まるで長く感じなかった。むしろもっと観ていたい。そんな3時間弱だった。