おしゃれなおばあさんがお茶

 東京に住んでいた時、よく通ったのが五反田にある麻雀教室。いつ行っても、同世代の独身女性が麻雀を楽しんでいた。

「夜10時過ぎ、銀座の喫茶店で80代ぐらいのお洒落なおばあさん4人組がお茶してたことがあって、“ああいう老後って憧れだよね”“こういうシーンって、たぶん都会にしかないよね”って友達と話しました。独身でいると、都会のほうが居心地よく暮らせるんだろうなと思う場面が多いです」(同)

結婚のため移住する独身女性に支援金?

 昨年、「消滅可能自治体」についてのリポートが発表された。2020年から50年までに20〜39歳の若年女性の人口が50%以上減る自治体が全国744に上り、最終的に消滅する可能性があるという分析結果は議論を呼んだ(「人口戦略会議」から)。

 その後、政府が制度案としてまとめたのが、東京23区に在住・通勤する独身女性が、結婚のため地方移住する場合も、自治体を通じて60万円の支援金を出すという施策だ。批判を受けて頓挫するに至ったが、地方から女性の流出が進むという文脈は、時に「地方過疎化の原因は主に女性にある」と言わんばかりの論調で語られがちだ。人口減少に悩む地方自治体の多くが力を入れるのが、結婚・出産・子育てへの支援だが、こうした施策に対し違和感を持つ女性も少なくない。

社会からの圧力を感じる

「人口減少などのリポートを見て感じるのは、“女性は子どもを産むべき”という社会からの圧力です」

 こう話すのは、地方に住む女性たちの本音を聞き取り、発信する活動を行う「地方女子プロジェクト」の山本蓮さん(25、山梨県在住)だ。主に10〜30代の地方出身の女性に、なぜ地元を離れるのか、地方の生きづらさについて聞き取りを行い、国や自治体の施策に生かされるよう活動を行っている。

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