結局、しわ寄せは独身に

 女性は言う。

「産休・育休とか、時短勤務とか、子育て中の人も働きやすい環境になるのは良いことだと思います。だけど、そのしわ寄せって結局、独身の人に来がちだなと……。“独身で一人暮らしなんだし、残業や休日出勤をしても問題ないよね?”という雰囲気がどこかにある気がします。それが積み重なると、独身ということで蔑(ないがし)ろにされているような気持ちになるんですよね」

 独身の自分が、子育て中の社員より仕事を多く引き受けるのは、会社にとって「当然」で、特別に感謝をされるわけでも、評価をされるわけでもないと感じる。産休や育休をとる同僚たち本人からは感謝されたり、「しわ寄せがいってしまって申し訳ない」という空気を感じたりするが、結局のところ、その“しわ寄せ”が会社から「正当に評価されることはなかった」(女性)。女性が言う「蔑ろにされている」というのは、そうした経験の数々に裏打ちされてきた実感だ。

ロールモデルは「ワーママ」

 女性活躍が叫ばれるようになって久しい現在、こう話す単身女性もいる。

「いま、社会で認知されているロールモデルは“ワーママ”で、会社が対外的に抜擢したがるのもワーママ。単身という属性は、現代日本において“不利”だと感じます」

 少子化対策で、国をあげてさまざまな子育て支援策が打ち出され、“働く母親”のロールモデルは各所で持ち上げられているように見える。一方で、「単身」という属性は社会にとって評価もせず搾取していい「都合のいい存在」として扱われているように感じるという。

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