
S&P500のインデックス型投資信託は、指数自体に変化がなかったとしても、為替相場で円高が進むと損失が発生する。その理由や「どの程度マイナスになる可能性があるか」について知ろう。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
【図解】eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の「上げ下げ要因」にびっくり!
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S&P500という指数自体が下がらなくても(株価が変わらなくても)、円高が進むと「損失」が発生するのは、S&P500が米ドル建てで取引されているから。
S&P500は指数なので単位は「ポイント」だが、この数値は米国株500銘柄の株価(米ドル建て)をもとに算出されている。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など日本の外国株投資信託は日々の為替で円換算されているのだ。
アップルやエヌビディアなど、個別の米国株を日本で買う場合は円を米ドルに両替することになる。
投資信託や東証ETF(上場投資信託)なら運用会社側で両替(と似たこと)をしてくれるので、我々は円で買えるというわけ。便利だが為替変動リスクがなくなるわけではない。
米国株A社の株価が100ドルだったとしよう。
株価は動かないが、1ドル=150円だった為替レートが100円になると?
円建てに換算すると「100ドル×150円=1万5000円」だった株価が、「100ドル×100円=1万円」になり、日本円にして5000円のマイナスとなる。
これが「為替差損」だ。
かつての円高は76円台

過去30年間の米ドル/円の推移を上のグラフに示した。
1990年代後半に144円台、2024年6月に160円超の円安局面が訪れている。
その一方で、1990年代半ばに80円台、2012年1月に76円台の超円高もあった。
為替相場のプロ、楽天証券FX・CFD事業部の荒地潤さんに分析をお願いした。
「過去を振り返ると、為替相場で円安や円高の流れが生じた場合、おおよそ3〜4年間のサイクルでそのトレンドが続くという法則性を確認できます」