
S&P500のインデックス型投資信託の基準価額に、為替変動はどのくらい影響するのだろう。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で検証してみよう。
上のグラフ「『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の基準価額『上げ下げ要因』」は、2024年11月から2025年2月までの期間で「基準価額の変動幅はどれくらいか」「株価要因で何%増減したか、為替要因で何%増減したか」を表したものだ。
11月と12月はどちらも基準価額が上昇しているが、11月は株価要因(上昇)が63%、為替要因(円高)でマイナス37%。
12月は株価要因(下落)がマイナス6.9%、為替要因(円安)が93.1%もあり、1487円の値上がりとなった。株価自体は下落でも、「円安さまさま」だったわけだ。
2025年1月と2月は基準価額が下落した。
1月は株価要因(上昇)で41.9%、為替要因(円高)でマイナス58.1%。
2月は株価要因(下落)でマイナス50.9%、為替要因(円高)でマイナス49.0%のダブルパンチだった。
株価と為替の綱引き状態である。
株価は長期的な右肩上がりとなることもあるが(実際に米国株がそうだ)、為替は円安と円高を繰り返してきた。
どこで円安・円高が止まるかはプロでも予想を外す。
2024年6月から7月下旬にかけての160円台が直近の円安局面の天井だったとわかるのは、その何カ月も後の「今のチャート」を見ているからである。
タイミングは読めない
1ドル=155円を突破したあたりで「円高になったら損するから、今は投資を控えたほうがいい」という人が増えた。
円高局面が終わりそうなころに投資をはじめるのが正解と思っているのだろう。
三菱UFJアセットマネジメントカスタマー・コミュニケーション部推進戦略グループマネジャーの野尻広明さんは疑問を投げかける。
「株価にしても為替にしても、転換点を読むのは難しいと思います。
たとえば2020年のコロナ・ショックで急落しているとき『そろそろ反発だ、買うべきタイミングだ』と確信していた人はどれだけいるでしょうか。また、実際に買えた人はどれだけいるでしょうか。
振り返ってみれば『あれはチャンスだった』とわかっても、リアルタイムでの見極めは難しい」