占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:毒親育ちです。母からの愛情を感じて育ててもらった覚えがありません。熟年離婚した父(他界)に似ているということで、事あるごとにダメなところを指摘されて育ちました。その母が年をとり働けなくなり、今になってお金を無心してきます。どうしていいかわからずに3万円だけ送りました。かかってくる電話が怖くて出られません。今後どのように母と向き合っていったらいいでしょうか。(女性/保育士/55歳/ふたご座)

A:専門家のものではないアドバイスと承知の上で聞いてほしいのですが、こういうケースのつらいところは、どうやっても相手が主導権を握ることです。相手の悪いところはうやむやにされて、言いくるめられて傷つけられてしまう。

 そこでまず「方針」が絶対的に大事になります。自分が相手との関係をどうしていきたいか。0か100かではなく「1割は相手にするけど、9割は家にも入れない、会わない」のような方針を立ててください。

 相手は心を揺さぶるプロですから、方針がないと「私が母親に対して悪いことしてるんじゃないか」と揺らいでしまいます。方針を決めると、何を言われても「そうですか。でも、私は何を言われても距離を取ると決めていますから」と済ますことができます。

 方針が決まったら、誰かに聞いてもらいましょう。相手とは一対一で向き合うのでなく、2人以上の頭脳の力を使ってやり合っていかないと、太刀打ちできません。ご友人もしくはカウンセラーの人に、どの頻度で連絡を返すのかなど具体的な闘い方を相談してもいいと思います。

 血がつながった相手だからこそ、いい関係の頃に戻りたい、最後に親孝行したほうがいいかもしれない、といった感情に引っ張られてしまいやすくなります。そのときに「今絶対連絡しちゃいけない」と止めてくれる役目の人がいるといいと思います。

 ふたご座は、パズルゲームをするような感じで相手が言っていることをわかろうとする、相手の言動を深掘りしすぎてしまう可能性があります。そしてそこに情が湧いてしまいやすいからこそ、誰かとの共同作戦をおすすめします。

 こういう例は身近にもあるんですが、僕はいつもお寺に行って写経をすることを勧めています。現代人って、人間に起こる問題を人間だけの力で解決しようとしすぎるんですよね。それも大事なことだけど、お寺や神社は昔から、そういう時に「目に見えない力を頼ってもいい場所」とされてきたはずです。お寺で開催される写経の会には、簡単には解決できない何かを抱えている人たちが来ています。その時間だけその問題から解放されることができるから。

 そういうことも含めてやっていくと、自分にとっての悪い縁、切るに切れなかった縁との距離感が、少しずつ変わっていくと思います。

AERA 2025年7月14日号

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