
「AERA DIGITAL」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は6月11日に「AERA DIGITAL」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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「好きにまっすぐ生きる」。インフルエンサーのしなこさんは、ポップでかわいい世界観と等身大のメッセージで、α世代を夢中にさせている。原宿カルチャーの新たなアイコンの素顔とは。(全2回の1回目/後編に続く)
<カラフルなグミやクッキーを手に取り、口にいれていく。ほおばるときに聞こえる咀嚼音が心地いい。そんなASMR動画をきっかけにブレークした。スイーツプロデューサーを務める原宿のタピオカドリンク専門店「ベビタピ」には親子連れが連日列をなし、ユーチューブに公開した楽曲はどれも爆発的に再生される。新たな原宿アイコンとして、特に小中学生の間で人気が急速に広がっている>
自分では、「原宿系クリエーター」を名乗っています。動画も撮るし、お菓子も作るし、音楽もする。子どもの頃からピンクやパープルの派手な色やお菓子が大好きで、大人になった今も同じです。
東京の田舎のほうで生まれ育って、固定観念の多さにしんどさを感じていました。みんながいいというものを好きになれなかったり、規則やルールが受け止められなかったり。「変な子」でした。そう思われないための正解を探して頑張っていたけど、やっぱりはみ出てしまう自分がいて。そんな自分のことも好きじゃありませんでした。
<自分を変えたい一心で、知り合いが一人もいない高校に進学。制服のまま初めて訪れた原宿で衝撃を受けた。年齢も性別も関係なく、思い思いのファッションに身を包んだ人があふれる街。その誰もがキラキラして見えた>
自分の常識が覆るような感覚の連続でした。それまでの私は常に「どういう服を着るのが正解か」「どの進路が正しいのか」というような、世間的に見た正解にすごくこだわりを持っていたんです。でも、原宿にいる人たちは正解を自分で選んでいるし、正解を作り出していた。「正解なんてものはなかったんだ!」って視界がぱっと明るくなったし、「私も好きにまっすぐ生きたい」と思ったんです。
店長に「直談判」した
<好きを体現する第一歩に選んだのは、ショップ店員のアルバイト。「高校生不可」を掲げる店だったが、熱意に押された店長が雇ってくれた。授業後は毎日のように原宿に通い、「しなこ」を知る人も少しずつ増えていった>
どうしても原宿で働きたくて、「ここで雇ってください」って直談判したんです。4時半に学校が終わったら私服に着替えて、5時から9時まで出勤。大学生になってからも原宿が大好きで、SNSでも発信していました。でも、そのときは本気でインフルエンサーを頑張るというより、ただただ原宿が好きな学生の一人。卒業後は資格を取るために大学院に行きたいな、なんて思っていたんです。