
そうした流れの中で、24年から「総合型選抜(女子)」を導入した。
「女子を特別視するのはいかがなものか、男子学生の不利益にならないかと、学内で導入に一部反対の声はありました。でも、人数を確保するためではないし、他の入試形態と同じ基準で選抜するから、学生の質を担保すると伝えたことで、理解を得ました」(井手本副学長)
定員は16学科に各3人の合計48人。入学者の1%ほどにすぎない。
「ですから、本学では『女子枠』とは絶対に呼びません」(同)
目的は、学力があり、志のある女子の受け入れだ。
「数学や理科が好きで、大学卒業後の将来像を語れる学生、その学科を目指す理由や目標のある学生を募集しています」(同)
それは選抜方法にも表れている。総合型選抜(女子)では、数学、理科の学習成績、小論文と口頭試問、さらに面接で、知識と志を測ると井手本副学長。
「大学に入って目標は変わっても構いません。ただ、入学時点で目標意識を持っているかどうかで、成長の度合いが変わってくると考えています」
総合型以外でも女子の志願者増
選考は厳しく、定員48人に対して、初年度の24年度は39人が出願し、25人が合格。翌年は、45人が出願して、合格したのは28人だった。定員を埋めることにこだわっていない。
興味深いのは、総合型選抜(女子)に限らず、他の選抜方式でも女子学生の志願者・入学者が増加していることだ。
「総合型選抜(女子)導入前の23年は、入学者の女子比率25%だったのが、たった1年で4ポイント伸びて29%になりました。入学者の3割が女子です。イベント開催で16年かけてじわじわと伸ばしていましたが、一足飛びでした。社会的なメッセージが、志願者に伝わった結果だと思っています」(井手本副学長)