

――掃除をする以外の場面では、実際に明奈さんが家事をされているとき、どのように関わっていますか。
「手伝えることあるー?」とはよく聞いています。まあ、だいたいの場合、手伝えるようなことはないんですけどね。結局邪魔しているだけになる、みたいな(笑)。僕はたしかに料理はできないから、「何かあったら言ってね」「いつでもいけるで」と伝えておくと、「じゃあ、このお皿出しといて」とか、役割をもらえるんですよ。僕ができる範囲のことを指示してくれます。
――家事1つに対しても2人でやるということが、夫婦の間で暗黙の了解になっているのですね。
常に声を掛け合っているほうがお互いに気が楽だと思います。「いつでもスタンバイしてるで」という姿勢を見せられていれば、妻にプレッシャーをかけることもないし、僕自身も引け目とか罪悪感を覚えることもありません。なるべく2人でできることは一緒にやりたいなと、結婚当初からその考えは変わらないですね。
要望を伝えるときは「笑顔」で
――明確なルールを設けることなく、家事に対する姿勢を共有できているというのは理想的に思えます。
たぶんルールを決めてしまうと、家族間で「破った」とか「これができてなかった」というふうになって、逆に揉め事の原因になるんじゃないかなと。できていないところが目についてしまうみたいな感じ方をするようになったら嫌やなあと思います。
もちろん、僕ができていないところ、いっぱいあると思うんです。でも、妻は僕にできること、できないことを理解してくれているので、強く指摘されてしまって揉めるとかは本当にないですね。
――パートナーへの家事の要望をするときには伝え方も大事です。明奈さんは工夫されているとお聞きしました。
あるインタビューで「言い方にもちょっと気をつけているんです」みたいなことを言ってくれていたんですよ。感情のままにパッと強く言ったら、結局それがムッとすることになるので、冗談っぽく伝えるようにしているって。たとえば、子どもが生まれてからの話ですけど、僕が鍵を閉め忘れていたら「どこかにふらっとお出かけされちゃったらどうするの」みたいなことを、決して怒るのではなく、笑顔で伝えてくれるんです。「ああ、ごめんごめん!」って素直に謝れますし、そうした工夫には知らず知らずのうちに助けられていると思います。
――家事シェアに悩む方にとっても即効性のあるコツですね。
焦っているときやイライラしているときなんかは、どうしても口調が強くなりがちですし、優しい口調で伝えるということは僕自身が見習っていて心がけるようにしています。優しい言葉っていうのは家庭の空気を和らげるはずなので、切羽詰まっているときこそ深呼吸したりして、実践してみてほしいです。
(AERA編集部・秦 正理)
