
「夫の一言が、私の美意識をつくってくれた」。102歳現役美容部員の堀野智子さんのお化粧と生き方の原点に迫る。「お化粧は、日常をシャキッとさせてくれる大切なスイッチ」「入院中も欠かしたことがありません」。そう語る堀野さんが、美しさを意識し始めたきっかけは、若き日の夫のひとことでした。
戦後の混乱期に親戚として同居を始め、思いがけず夫婦となった二人の物語。恋愛感情から始まったわけではなくても、信頼と尊敬にもとづいた背筋を伸ばして生きるための大切な価値観を、堀野さんの最新刊『102歳、今より元気に美しく』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・加筆再編集して公開します。
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お化粧はどんなときでも欠かしません。
この生涯で入院したのはポーラの仕事を始める前に盲腸になったときと、90代半ばで足を骨折したときだけです。
骨折で入院したときは、内科的に悪いところがあるわけではないので、先生にありのままの顔色を見てもらう必要はないだろうといつも通りにお化粧をしていました。
私にとっては日常生活の一部になってしまっているので、お化粧しないでいることは考えられません。
それにしても今になってつくづくと思うのが、夫に言われた「身だしなみをきちんとしなさい」の一言の重さです。