家事シェアをめぐってぶつかる夫婦は多い。写真はイメージ(GettyImages)
家事シェアをめぐってぶつかる夫婦は多い。写真はイメージ(GettyImages)
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「家事」は掃除、洗濯、料理だけではなく、数多くの“名前のない家事”が存在する。夫婦のどちらか一方に負担を集中させず、納得できる形でシェアするにはどんな考え方が必要なのか。揉める要因と不満解消の方法を専門家に聞いた。

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 東京都に住む40代男性は、家事を一切しない父親を反面教師に、積極的に家事に関わろうと努めてきた。だが、やる気をそがれることが多いと悩んでいる。

「洗濯と食後の食器洗い、子どもの送り迎え、あとは週2回の掃除が私の担当です。どれもこなせていると思っていたんですが、服の畳み方がそろっていないだとか、食器を片付ける場所が違うだとか、逐一妻にダメ出しされます。また何か言われるんじゃないかと思うと、言い合いもしたくないし、ある意味萎縮してしまって『これはどうすればいい?』とも聞きづらい状況です」

 夫婦間のこうした意識のすれ違いの原因はどこにあるのか。家事の負担を軽減する方法の発信を続ける知的家事プロデューサーの本間朝子さんは「“自分ルール”が生み出すハードル」と分析する。

「家事をメインでしている方が、メインであるがゆえに勝手にルールを変えてしまうことがあります。洗濯洗剤が液体から粉末に突然変わっていたり、キッチンのスポンジがどちらが食器用でどちらがシンク用かわからなくなったり。こうなるとメインではない人は戸惑うばかりで、主体性を持ちにくくなってしまいます」

家事のゴールのすり合わせを

 さらに「家事の全体像が見えているか、見えていないか。家事に対する解像度のズレが揉める要因」とも指摘する。衣服の畳み方をそろえることで引き出しから取り出しやすい。次の料理のときに準備しやすい場所に食器をしまう。先を見越しての“名前のない家事”をすり合わせておくことが肝要とアドバイスする。

「一例として、食器洗いを済ませることがゴールではなく、次に気持ちよく家事に取り掛かれるところまでやるのがゴールです。食器を洗ったはいいけれど、シンク周りが水滴まみれ、スポンジが泡だらけでは『食器洗いをしてくれてありがとう』とは思えないんです」

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