こうしたときに相手の家事に目くじらを立ててしまうと、家事シェアはうまくいかない。「どうすればやりやすくなるか」を一緒に考えてみるとうまく回ることもある。本間さんは言う。
「新しいごみ袋がどこにあるかわからないというケースも考えられます。ある家庭では戸棚にしまっていたごみ袋を、ごみ箱の横に簡易ハンガーを吊るしてそこにかけておくという工夫をしたそうです。忘れてしまいがちなら忘れない仕組みにしてみる。ちょっとした工夫で不満を解消できることもあるんです」


家庭によって家事に対する感覚は異なる。だからこそ、家事に「正しい」「間違い」はない。
「完璧主義の人と大雑把な人の組み合わせなら何をするにも大変ですし、育ってきた環境などから衛生観念の違いもあります。“こうしている理由”をお互いに伝え合いながら、違いをすり合わせていく姿勢が大切です」(本間さん)
手を抜く、やらない家事を決めてみる
主に注文住宅を提供する住宅メーカーの一条工務店が、共働きの既婚男女673人を対象に2024年に実施した「共働き夫婦の家事シェアに関するアンケート」によれば、「家事分担の理想の割合」について「自身:配偶者=5:5」との回答が男性が約43%、女性が約33%と、ともに1位だった。同社の担当者はこう語る。
「便利家電の導入や家の間取りを見直したいという声をよくいただきます。キッチンスペースを広くしたり、収納スペースを見直したりと、家事に対する意識から住宅を考えるという方は増えていますし、住まいのよりよい環境づくりを提案していくことでも、家事シェアは今後進んでいくのではないかと感じています」
とはいえ、パートナーが一切家事をしてくれないという家庭もまだまだあるだろう。本間さんはこう助言する。
「細かく精査していくと、家事というのは100個ほどあるんです。手を抜く家事、やらない家事を一緒に決めていくのもいいと思います。同居人双方が料理が苦手なら、自動調理鍋を導入してもいいでしょうし、家事代行を使ってもいい。家事シェアは感情的な部分がものすごく大きいので、互いに完璧は求めずに、苦手でもできなくても、主体的に取り組もうとする、一緒にやろうとするチームだという姿があるかどうか。家事シェアを進めるうえでは、意外とその空気感のほうが負担の割合以上に大きいと思います」
(AERA編集部・秦 正理)
