占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:かつてパート仲間として一緒に働いた友人が、店舗のリーダーとなり上司の立場になりました。独裁的に物事を進めるようになり、周りからの評判は悪く、孤立しているようです。出世に対しておめでとうという気持ちもありますが、前のように飲みに行ったりできない寂しさもあります。下手にアドバイスをして目をつけられるのも嫌で、どう振る舞うのがいいか、正解がわかりません。(女性/パート勤務/39歳/かに座)

A:この世でいちばん難しいことの一つが、友人と仕事をすることではないかと思います。同僚どうしならまだしも、一方が上司になるとお互いに心の線引きをして、仕事として徹するしかありません。

 寂しいですが、立場が変われば仕方のないことで、どうしても仕事が優先されてしまいます。友人だった時には見えなかったネガティブな面が見えてくる。仕事を一緒にするなら、完全にゼロに戻って仕事用としての付き合いをしていかなければなりません。

 友人どうしとして仕事をすると、相手が自分にとっていちばんの理解者であるべきだという甘えた姿勢と先入観がお互いに出るんですよね。そしてこれを外すことは僕の経験上不可能です。

 だから今回はちょっと厳しめのアドバイスになってしまいますが、覚悟を決める以外ない気がします。

 ただ一方で、こうした「不都合な出来事」は機動力を鍛えるまたとない機会です。起きてほしくない、喜ばしくない出来事なんだけど、それに対して2、3の対策を準備しておく。人生を長い目で見れば、ずっと平穏無事に暮らしていける人はいなくて、災害やハプニング、不都合にも必ず出合います。

 杞憂に終わってくれたらいいけど、万が一の可能性もあるから一応準備しておくか、という危機感をもった訓練は、きっとこれから役に立ちます。時には生き方のルールを変え、新しい場所に引っ越すぐらいの気持ちで、本気の対策を考えておきましょう。

 ご相談のケースではまだあらゆる可能性が残っていると思います。あえてこの人に盾突く役を演じるとか、上司としての寂しさやプレッシャーもくみ取ってあげられる人になるとか、もしくは距離を取って離れるとか。雲行きが怪しくなって自分のことを攻撃し始めてきた時には同じ職場にはいられないかもな、などの選択肢も想定しながら、覚悟を決めてシミュレーションしてみてください。

 パターンAからDぐらいまで準備して、Dになったらこの方式を取る、ということをプリントアウトしておきましょう。文面にするメリットは「その悩みに対してそれ以上考えなくていい」というお墨付きを自分に与えられること。かに座は最悪の事態を考えることも得意な人たちだから、一度まとめておくとリスク管理になると思います。

AERA 2025年6月30日号

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