この春一気に評価を上げたのが中西と桜井の2人だ。中西は大学選手権での東北福祉大戦こそ崩れたものの、リーグ戦では6勝をマークして3完封、山城に次ぐ防御率1.41と抜群の安定感を見せた。一方の桜井もリーグ戦で2完封、大学選手権では全4試合に登板してチームを優勝に導き最優秀投手のタイトルを獲得した。ともに昨年までと比べてストレートがスピードアップし、それでいながら高い制球力も維持できているという点が高く評価できる。プロでも先発として期待できるだろう。
堀越と島田はリーグ戦では少し安定感を欠いたものの、ともに150キロ台中盤をマークするスピードが大きな魅力。堀越は大学選手権でも2回戦の東日本国際大戦で先発としても6回を無失点、10奪三振と結果を残したのがプラス要因で、島田もシーズン終盤に向けて調子を上げてきた印象を受けた。大型で球威のある投手はやはり高く評価されやすいだけに、1位の12人に入ってくる可能性は高そうだ。
大学生投手で判断が難しいのが高木快大(中京大)だ。昨年から大学日本代表でも活躍しており、総合力ではトップクラスであることは間違いない。しかしオフに右肘を手術して出遅れ、リーグ戦では結果を残したものの、大学選手権では登板を回避している。秋に順調に回復したところを見せれば十分1位も狙える存在だが、今回は選外とした。
残る4人は大学生野手から小島大河(明治大・捕手)、松下歩叶(法政大・三塁手)、谷端将伍(日本大・三塁手)、大塚瑠晏(東海大・遊撃手)を選んだ。小島はリーグ戦で肋骨を骨折し、途中からはファーストでの出場となったが、それでも打率.316、3本塁打とさすがの打撃を見せた。4季連続で打率3割をクリアしており、捕手でありながら通算打率.333という数字は見事という他ない。元々は内野手だったということで、打撃を生かして他のポジションでも出場できるという点もプラス要因だ。
松下と谷端は立石と同じ右打ちの強打の内野手。松下は下級生の頃は確実性が課題だったが、昨年秋、今年春と2季連続で打率3割をクリアし、成長したところを見せた。一方の谷端はこの春は打率1割台と低迷したものの、昨年は春秋連続で東都一部の首位打者を獲得しており、リストの強いスイングで長打力も申し分ない。立石を逃した球団が次の候補として挙げる可能性は高いだろう。
最終学年で一気に浮上してきたのが大塚だ。守備については高校時代から高い評価を得ていたが、今年春のリーグ戦では4割近い打率を残すと、大学選手権でも4試合で16打数8安打、2本塁打、3盗塁と圧倒的な成績を残した。年々パワーも確実性もアップしており、170㎝という上背が全く気にならない。ショートの守備は一級品だけに二遊間の即戦力が欲しい球団にとっては垂涎の存在と言えるだろう。