今の会社にいるよりも、と悩んだら転職サイトに登録しながら自分の転職市場における市場価値を測るのだという(photo gettyimages)

決め手は「年収2割増し」

「転職活動をしていなければ、目の前の業務を掘り下げて考えることや、俯瞰して見ることもしなかったと思います。でも転職活動をしていると、実を結ばなかった業務も、『この経験は面接で使える』とポジティブに捉えられるようになるんです」

「転職がゴール」と考えれば日々の業務のコスパ(コスト・パフォーマンス)も上がる、というわけだ。転職サイト登録から1年後。女性は内定を得た5社のうち、現在勤務しているPR会社に転職を決めた。決め手は「年収が2割増し」になるのに加え、面接担当の役員の言葉だったという。

 キャリア観について面接で問われた際、女性は正直に「まだ明確に固まっていません」と答えた。これに役員は「であれば、業務を続けながら一緒に考えていこう」と伴走する姿勢を示してくれた。キャリア形成に不安を感じていた女性は安心感を得られたという。

「逆面接」の余裕も生まれる

 注目すべきは、面接で女性がなぜ、キャリア形成に関する「弱み」を正直に吐露したのかということ。「転職面接の達人」の域に達しつつあった女性は当然、キャリア観に関する質問を受けるのは想定しており、そつのない回答もできたが、あえて本音を伝えて会社側の反応を探る余裕が生まれていたのだ。

「ちょっといい雰囲気の会社だったので、素の自分をさらけ出しても受け入れてもらえるのか試してみようと思いました」

 これはまさに「逆面接」。ゆる転職活動で培った胆力、恐るべし。

(AERA編集部 渡辺豪)

こちらの記事もおすすめ 「もう潮時や」不安を抱えながら50歳を前に退職、でも… 「後悔も不安も1ミリもない」
[AERA最新号はこちら]