基礎年金が3割目減りする未来

 それと現在の状況は切り離して考えるべきです。アベノミクスによる円安が進み、依然として食料やエネルギーの多くを輸入に頼っています。その一方で、賃金や年金はなかなか上がらず、非正規雇用が拡大しています。このような中で当面の物価高にどう対応し、生活の安定を取り戻すかが重要な課題です。消費税率にこだわる局面ではないでしょ。

――就職氷河期世代の中には非正規雇用といった不安定な働き方をしている人も多い。今後、氷河期世代が年齢を重ねていくうえで、対策は考えていますか。

 このまま将来にわたって放置すると、基礎年金が3割目減りするんです。少なくとも基礎年金を3割も目減りさせてしまって社会を維持できるのかという課題を含めた社会保障政策が必要です。加えて、比較的単身世帯が多いとも言われているため、支援付き家賃補助をはじめとする住宅政策。さらに、生涯にわたって社会に居場所を持つことが必要だと思うんです。

 そういう意味では、横のつながりや、あるいは雇用の場も柔軟で公平、かつ安定的なものにしないといけない。雇用法制という観点からも、アプローチしていかなければなりません。この世代は人数も多く、いわゆる「団塊ジュニア」世代でもありますから、この層への対応ができるかどうかは、今後、社会を維持できるかどうかに大きく関わってくるという認識です。

――今回の参院選、野党での目標議席は。

 改選(124議席の)過半数、願わくは全体(248議席の)過半数。これは達成しなくてはなりません。政権は永続するのがよいのか、定期的に交代すべきなのか……。民主主義をうまく機能させるには、どちらが健全なのか。それが、今もっとも大きく問われているテーマだと思います。その答えを、有権者に出していただく。そういう意味で、今回の都議選・参院選は、歴史的な節目となる選挙になるのではないでしょうか。そして、そうしなければならないと感じています。

 (AERA編集部・古寺雄大)

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