
トランプ大統領とイーロン・マスク氏の子どものような喧嘩に注目が集まっている。そのトランプ氏にある疑惑が浮上している。AERA 2025年6月23日号より。
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「イーロン、もっと言って!」「やっぱりね」という声が、街中やソーシャルメディアで巻き起こった。
実業家のマスク氏は、2025年1月のトランプ政権発足とともに、ホワイトハウス入り。後に政府機関と位置づけられた政府効率化省(DOGE)のリーダーとなった。異例の登用だった。
個性が強すぎるマスク氏とトランプ氏の関係については、政権発足直後から、「いつ不仲になるのか」と全米が注目していたが5月28日、マスク氏はDOGEリーダーを退任する意向を示した。それ以降からトランプ氏をこき下ろす過激な投稿をXで突然発信し始めた。
リベラル派はマスク氏の豹変を歓迎。あるユーザーの「大統領対イーロン。どちらが勝つ? 私はイーロンに賭ける。トランプは(大統領を罷免する)弾劾をされるべきで、J・D・バンス副大統領が後任になるべきだ」というXへの投稿に対し、マスク氏は「そうだ」と返した。
トランプに「新疑惑」
連邦議会はトランプ氏が大統領1期目の間、2回にわたり弾劾訴追した。
初回は2019年で、ウクライナ疑惑を巡る権力乱用。2回目は2021年1月6日のトランプ支持者による連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したという疑いだった。
反トランプ派の期待に反し、弾劾は最終的には無罪となったものの、在任中に2回も弾劾された大統領は、トランプ氏がむろん、初めてだ。このほかにも、不倫口止め料を不正に処理した罪に問われた事件について、ニューヨーク州地裁からは34の罪状で有罪評決が下されている。
マスク氏との関係悪化で、トランプ氏には「疑惑」が加わることになった。
実業家の故ジェフリー・エプスタイン元被告が起訴された未成年者を含む性的暴行や性的人身売買の犯罪に関するファイルに、トランプ氏の名前があると、マスク氏が投稿したのだ。