日本将棋連盟新会長の清水市代女流七段(左から4人目)ら新執行部=2025年6月6日、東京都渋谷区の将棋会館
日本将棋連盟新会長の清水市代女流七段(左から4人目)ら新執行部=2025年6月6日、東京都渋谷区の将棋会館
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年6月23日号より。

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 現代将棋界のスーパースター羽生善治九段(54)からバトンを引き継いだのは、女流棋界のレジェンド清水市代女流七段(56)だった。

 6月6日、日本将棋連盟の通常総会が開催され、新任役員の互選により、清水が新会長に選任された。

「偉大なる羽生善治前会長の後任ということで、今でもものすごく緊張し続けていますが、今日ここに揃っております、新しいメンバー、新体制のもと、気持ちを一つに進んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」(清水)

 女流棋士としての清水のキャリアは、ほとんど非の打ちどころがない。1996年当時、タイトル戦は一般公式戦では七つ、女流公式戦では四つ存在した。その状況で史上初の全冠制覇を達成したのが、羽生七冠であり、清水女流四冠だった。一時代を築いた両者は、現在に至るまで棋界を代表する顔であり続けてきた。

 日本将棋連盟は1924年に創設されてから百年もの間、会長は男性の名棋士たちが務めてきた。女流棋士の会長初就任は、新時代到来を端的に示すものだ。

「『継承』と『挑戦』。この両輪を力強く回していくことで、より多くの方々に将棋の魅力をお届けし、将棋界全体の活性化へと発展させていきたいと考えております」

 清水はあいさつ文にそう記した上で、こう語った。

「まさに将棋連盟にとって、この私を選んでいただいたことが挑戦なのではないかなというふうに思っております」

 将棋界にはいくつもの課題が存在し、運営の舵取りは決して容易ではないだろう。一方で藤井聡太七冠だけでなく、福間香奈女流六冠、西山朋佳女流二冠など、人気・実力ともに兼ね備えたスターが存在し、社会的にも大きな注目を浴びている。清水新会長の手腕に期待したい。(ライター・松本博文)

AERA 2025年6月23日号

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