
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「大人になってからのアレルギー症状」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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「あああ、頭がかゆい…!!」
つい先日のことです。頭頂部の頭皮に強いかゆみが出現し、次第に耳や足、背中など全身に広がっていきました。気がつくと、無意識にかきむしってしまっていました。
「どうして、こんなにかゆいのだろう?」と不思議に思っているうちに、今度は激しい下痢が続くようになりました。食後しばらくするとお腹が張り、突然の腹痛とともに激しい下痢に襲われます。しばらくしても腸の違和感が残り、トイレから出た後もスッキリしない感じが続きました。ほんの少し食べただけでもお腹が張るようになり、食事をするのが怖く感じるほどでした。
「もしかして、卵が原因かもしれない…」
そう思い至ったのは、5年ほど前の経験があったからです。当時も頭のかゆみから始まり、今回と同様の腹部の症状が続きました。採血によるアレルギー検査の結果、「オボムコイド」と「ミルク」で陽性判定が出たのです。
「オボムコイド」とは、卵白に含まれるタンパク質の一種で、卵アレルギーの原因となる代表的な成分です。オボムコイドに特徴的なのは、加熱しても構造が壊れにくいという性質を持っていることです。そのため、ほかの卵白タンパク質よりも免疫反応を起こしやすく、卵アレルギーのある人は、生卵はもちろん、加熱したゆで卵や卵焼きなどでも症状が出ることがあります。卵アレルギーの中でも重症化しやすいタイプの原因とされており、医療現場では、アナフィラキシーなど重篤な反応につながるリスクが高い成分として警戒されています。
カフェラテ、ゆで卵、卵かけご飯の日々
5年ほど前の当時の私は、牛乳をたっぷり入れたカフェラテを毎日飲み、ゆで卵や卵かけご飯など、卵も日常的に摂取していました。偏食気味の私は、気に入ったものを食べ続けてしまう傾向があり、知らず知らずのうちにアレルギー症状を引き起こしてしまっていたのです。