「よくわからないけど、うまく打てた」
山田は早熟の選手だ。誰よりも早いスピードで階段を一気に駆け上がっていった。「あいつは天才」。チームメートも対戦した選手も口をそろえる。だが、この「天才」という言葉は危うさをはらんでいる。ヤクルトを取材していたライターが明かす。
「山田がまだ若手だったころ、本塁打の打席を振り返って、『自分でもよくわからないけど、うまく打てた』とコメントしていたのが印象的でした。最初は言葉で伝えるのが得意ではないかなと思ったのですが、毎回同じようなコメントをするので感性、感覚で打つ選手なのだなとわかりました。近年の山田を見ると不調の原因が分からずに考えすぎているように見えます。感覚で打っていた選手は、身体能力が落ちた時に立ち返る土台がないので迷走してしまうのでしょう。まだ32歳と老け込む年齢ではないので、もう一花咲かせてほしいです」
20年オフに7年契約を結んでおり今年が5年目だが、このまま結果を出せないとレギュラーを保証されない立場になる。天才は復活できるか。ファンはその時を心待ちにしている。
(今川秀悟)
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