第一にCBだ。長くDFラインを支え続けた34歳の谷紗希の経験値には敬意を払い、今後も頼る場面があるだろうが、ブラジルのように個のスピードの前ではたちまち苦しくなる。年齢を重ねる2年後のW杯を見据えると世代交代の必要性は明らかであり、この2試合を見る限りは19歳の古賀塔子と21歳の石川璃音のCBコンビが現時点でも優れていた。特にフェイエノールトで経験を重ねる古賀は期待大。第1戦で起用された右SBよりも本職のCBに専念させ、古賀をリーダーとした新たなDFラインの構築を進めるべきだろう。

 次にサイドバック。特に右だ。今回の2試合を通じて効果的な攻撃参加は数回ほど。特に第1戦のように中盤が激しいマークで前を向けない場合、サイドバックがボールの逃げ場となり、時間を作り、攻撃の起点として働くべき。左は現状、第一候補の北川ひかるに期待するが、昨年2月に前十字靭帯損傷で1年以上の長期離脱を強いられた遠藤純の復活も待ちたいところ。そして右はニールセン監督が認めるように現状はレギュラー不在。今回、初招集で2試合ともに途中出場したWEリーグMVPの山本柚月には可能性を感じただけに、スタメン起用で見てみたかったところ。昨夏のパリ五輪で負傷して長期離脱中の清水梨紗が復帰して万全の状態に戻ることができれば、問題は解決するかも知れない。

 中盤はなでしこジャパンの“強み”であり、今回のブラジル遠征をコンディション不良で辞退した長谷川唯、さらに前回のコロンビア戦で追加招集され、WEリーグのベストヤングプレイヤー賞を受賞した日テレ・東京ヴェルディベレーザのMF眞城美春の台頭に期待したいところ。それでも、今回の第1戦のような激しいプレスを回避するためには、個人の能力だけでなく、周囲のサポートとグループ戦術の確立が不可欠。2ボランチなのか1ボランチなのかを含め、ベストな組み合わせを見つけ出したいところだ。その中で特大のポテンシャルを持つ谷川萌々子をどう組み込むかは大きなテーマ。長谷川を中心として、長野、宮澤、三浦のボランチに、攻撃的なMFとして籾木、松窪がいるラインナップを考えると、現状では谷川を後半途中からの“切り札”で使う方が相手としては嫌だろう。

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