そして1トップのFWだ。これまでニールセン体制の公式戦6試合すべてで田中美南がスタメン出場している。最初の2試合連続で2ゴール1アシストの活躍を見せたことで信頼を掴んだ形となっているが、今回の2試合は無得点に終わった。もちろん攻撃の組み立てや守備での貢献度は評価できるが、FWとしてはやはりゴールが欲しいところ。そしてそのパフォーマンス以上に問題なのが、2試合とも田中がフル出場だったこと。多くの場合、フレッシュなFWを投入することが試合の流れを変える有効な手段となるが、今回は切るカードがなかった。その田中も現在31歳だ。現状、植木理子や千葉玲海菜やアンダー世代で結果を残した21歳の土方麻椰などが候補となるが、なでしこジャパンが再び世界一を獲るためには屈強なDFを相手にもパワー負けしない大型FWが欲しいところだ。
そこで一つ、トライしてもらいたいのが、“切り札”谷川萌々子の1トップ起用だ。身長168cmでフィジカル能力に優れ、テクニック、キープ力に加えて、左右両足での圧巻のシュート力を持ち、他の面々と比べて能力的に異質な谷川を最前線スタートから0トップ的に起用し、その周囲を藤野、浜野、清家、松窪らスピード溢れる面々が絡む布陣も試してみてもらいたい。今後、谷川が所属するバイエルンでどのように成長して行くかで代表での起用法も変わってくるだろうが、その中で「1トップ谷川」のを試す価値はあるのではないか。
「CBの世代交代は?」「右SBのレギュラーは誰か?」「中盤の組み合わせは?」「谷川の起用法は?」「1トップFWは?」……。なでしこジャパンの次戦は6月27日、今度はW杯王者のスペイン代表と対戦する。今回のブラジル2連戦の課題を解決するために、どのような手法にチャレンジするのか。ニールセン監督の手腕に注目したい。
(文・三和直樹)
こちらの記事もおすすめ まだまだいるぞ!「日本代表に呼びたい選手」たち 森保ジャパンの大胆選考“入れ替え14人”以外の新戦力候補は?