ブラジルに連敗したなでしこジャパン、課題は山積みだ(写真:ロイター/アフロ)
ブラジルに連敗したなでしこジャパン、課題は山積みだ(写真:ロイター/アフロ)
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 サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”がブラジル女子代表との強化試合2連戦に2連敗(1-3、1-2)を喫した。昨年12月に就任したニルス・ニールセン監督のもと、今年2月のシービリーブスカップで優勝を飾って高まっていた期待感を裏返すように、数々の課題を突き付けられることになった。

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 敵地での2連戦。5月31日の第1戦は、まさに完敗だった。立ち上がりから相手の激しいプレスの前に長野風花、宮澤ひなたのダブルボランチがロックされ、トップ下でスタメン出場した期待の20歳MF谷川萌々子も運動量が少なく、浜野まいか、藤野あおばの両サイドも孤立。そして谷紗希、南萌華のセンターバックから効果的なパス出しができず、GK山下杏也加が前線へ確率の低いロングキックを繰り返した。2失点目は山下からのロングパスを受けた谷川が狙われたところからのショートカウンター。その後もブラジルのスピードのある攻撃に守備陣が対応できず、3失点目は熊谷が中盤に不用意に食い付いて剥がされたところから。0-3から終了間際に1点を返したが、ブラジルがペースを落としたところで奪った得点に大きな価値はなかった。

 中2日の6月3日に行われた2戦目、試合内容的には随分と改善された。スタメン6人を入れ替えた中、GK山下も含めてグラウンダーのパスで“繋ぐ”という共通意識が見え、中盤アンカーの三浦成美が広いエリアを高い強度でカバーし、籾木結花、松窪真心の2人の距離感も良く、そこに清家貴子、藤野あおばの両サイドが絡んで何度もチャンスを作り出した。何より、古賀塔子、石川璃音のCBコンビが恐れることなく相手との距離を詰め、3日前では後手を踏んだ1対1の攻防でも粘り強く体を張って防ぐことができていた。しかし、前半の決定機を決められず、後半立ち上がりに好連携から先制点を奪うも、すぐにオウンゴールで同点。そして後半34分にCKからケロリンとジョンソンによる圧巻の爆速カウンターを浴びて逆転ゴールを許した。

 2試合を通して最も感じたのは、2027年に自国開催のW杯を控えるブラジル女子代表への期待感だった。一方、その“引き立て役”となったなでしこジャパンには、改善すべき課題が複数あることは明らかだった。

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