不動産をめぐる契約は、解約が難しいケースもある(写真はイメージ=GettyImages)
不動産をめぐる契約は、解約が難しいケースもある(写真はイメージ=GettyImages)
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 高齢者の持ち家やマンションを安い価格で「押し買い」し、賃貸借の「リースバック」契約を結ばせてトラブルになる事例は、なぜ増えているのか。背景には、業者にとって大きな「うまみ」があるとともに、不動産売買がクーリング・オフの対象外になるなど、消費者を守る仕組みが十分にないことがある。

【図表】リースバックのメリットとデメリットの解説はこちら

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 被害が拡大している「押し買い」と「リースバック」契約。しかし、リースバックの仕組みそのものに、特に問題があるわけではないという。

 この問題に取り組んできた「ウェール法律事務所」(東京都)の藤田裕弁護士によると、高齢になって自宅などの維持管理が難しくなったり、本人が死亡した後に管理する家族がいなかったりする場合、適正な価格で売却して、手に入った資金から毎月の賃料を払いながら住み続けることができるリースバックを有効に使っている人もいる。まとまった資金が手に入るからだ。 

「しかし、何の規制もない今の状況では、リースバックはリスクが大きすぎる」
 

契約解除には高いハードル

 いったん結んだ契約を、無条件に解除する方法としては、クーリング・オフの制度がある。

 しかし、消費者側が不動産業者に自宅を売却する場合は、宅建業法上でのクーリング・オフの対象外になるため、いったん契約が成立してしまうと一方的な解除ができなくなる。

 そして、売主である消費者側から契約を解除する場合、手付金の倍額を買主に支払う「倍返し」が必要になり、さらに手付解除ができる期間を過ぎてしまえば、契約条項に基づいて高額な違約金が必要になることが多いという。

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