そして、必ずしも認知機能が落ちている高齢者が被害にあっているわけではないと、「ウェール法律事務所」の藤田弁護士は言う。
長年住んでいた自宅をその日のうちに売却させてしまうぐらい、不動産業者の営業トークは巧妙だ。その場で丸め込まれてしまった被害者が、振り返って「浅はかだった」「昔だったらこんなことしないのに」と後悔するという。
高齢者が被害にあわないようにするには、地域社会で高齢者を見守る仕組みが必要だと、藤田弁護士は指摘する。
高齢者や障害者、認知症などで判断能力が不十分な人を守ろうと、2014年に市区町村や地域の関係者が連携して見守り活動をする「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」が置かれることになった。しかし、東京都内でも設置している自治体はまだまだ少ないのが現状だ。
「生活面だけでなく、消費者被害においての見守りも地域で強化できたら、高齢者も安心して暮らせる社会に繋がると思います」
押し買いとリースバック契約をめぐる問題は、国会でも議題に上がった。4月の参議院国土交通委員会で質問に立った共産党の大門実紀史・衆院議員は、こう訴えた。
「これは消費者庁、国交省、各省問わず、対応をできるだけ早く検討していただきたい」
(AERA編集部・大崎百紀)
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