自身の半生と現在地を語ってくれた女性(撮影/インベカヲリ☆)
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 現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。今回語ってくれたのは38歳のみやさん(全2回の1回目)。

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女性向け風俗のお尻専門店で働いている

「夜の仕事なんですけど、女性向け風俗のお尻専門店で働いているんですよ」

 衝撃的なことをサラリと言うみやさん(38歳/仮名)は、ショートカットの黒髪に、キリッとしたジャケットを羽織り、中性的な雰囲気を漂わせていた。

 私が最初にみやさんと会ったのは、彼女が14歳のときだ。写真を始めてすぐのころに、被写体として知り合ったのである。当時のみやさんは、大人の友だちが多く、ゴスロリファッションで、冷めた目をした少女だった。

あれから24年。顔つきは柔和になり、芯の強さがにじみ出るような落ち着きがある。これまで、どんな人生を歩んできたのだろう。

「25歳のときに、地元の茨城県で結婚して、9年後に離婚したんです。その後に上京して、34歳で鍼灸の専門学校に入ったんですよね」

奨学金返済が70歳まで

 20代のころから冷え症改善のために漢方を飲んでいたというみやさんは、社会人になってからでも始められる東洋医学の職種として、鍼灸師の道を選んだらしい。

 卒業はしているものの、鍼灸の国家試験に落ちたので、免許はない。現在は、鍼灸院の整体枠で研修をしているが、練習生なので給料は出ないという。

「350万円の学費を奨学金で借りたので、返済が70歳まで続くんです」

 生活のために風俗店で働きながら、国家資格の取得を目指しているということだった。

風俗は趣味の延長

「でも、風俗で働くことは、基本的には趣味の延長なんですよ」

 ロイヤルミルクティーを飲みながら、みやさんは顔色ひとつ変えずに言った。そもそも、女性用風俗という業種が珍しい。なぜ、働くことになったのだろう。

「上京して、最初は男性向けの風俗で、お尻専門のM性感で働いていたんです。在籍2年目くらいに、友人が女性向け風俗のお尻専門店を開くというので、掛け持ちで在籍することになったんです」

 女性向け風俗というと、一般的には女性客に男性キャストがつく店を指す。みやさんはどんなポジションなのだろう。

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