女装する男性が好き

「可愛がってはくれたけれど、私のことは何も考えていないんですよね。穏やかな雰囲気で、口数も少ない人だったけど、父に対して意思疎通ができたと感じられることはなかった。身近な男性である父がそんな感じだったので、『男性はよくわからない生き物』としか思っていなかったんです」

 それでも、小学校時代の初恋は男の子だった。

「その子は、及川光博にそっくりの綺麗な顔をしていて、オネエ言葉を喋る男の子だったんです。私はその子に、めちゃくちゃ惹かれてしまって。今でも性癖の一つに、女装する男性が好きというのがありますね」

モラハラとデートDV

 中・高時代は、何人かの女性と付き合い、高校卒業後に最初の上京をしたときは、トランス男性の彼氏がいたという。

「女性として生まれて、男性の戸籍にこれから移行する予定の人でした。手術で胸を取って、ホルモン注射でヒゲも生えていたし、見た目は完全に男性ですね」

 その彼とは4年間付き合い、同棲もした。しかし、その裏でモラハラとデートDVを受けていたという。

「手は上げないけど、壁に物を投げたり怒鳴ったりするんです。家事が苦手な私に対して、『お前はそういうところがダメ』『普通はこうする』とか、人格否定を含む言い回しも多かったですね。束縛もひどくて、付き合っている間は、地元に帰ることも許されなかった。それでも、一人になる不安で別れられなかったんです。愛情表現がはっきりしてる人だったから、『私みたいなダメな奴を好きになってくれる人は、この人が最後かもしれない』と思ってしまって。もともと自分に自信がなくて依存体質でしたが、彼と付き合っているときは、自己否定が増えていた気がしますね」

別れるまでに2年以上

 みやさんは、彼から逃げるために何度も家を出たが、そのたびに連れ戻され、別れるまでに2年以上かかったという。

「別れた後も、なにかと理由をつけて連絡がきたし、彼の洗脳から抜けるのに数年かかりました」

 こうして地元に戻ったみやさんは、23歳で初めて男性と付き合い、そして結婚している。男性嫌悪は薄まったのだろうか(後編に続く)。

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