
それでも先祖から受け継いだ田んぼを放置できぬと少なからぬ農家がコメを作り続けた。でももちろんそんな仕事を子には継がせられず農家は高齢化する一方。つまり、コメの生産はこれから伸びる要素がないどころか既に危機的状況である。その状況がインバウンド急増などで表面化したのが、このたびの騒動ではないのか。
つまり、これまでコメが安かったこと(ちなみに今でも一食約50円)と、このたびの騒動は同根なのだ。この根っこが変わらぬ以上、仮にコメの値段が下がったとて、それは問題解決には何もつながらないと私は思う。
結局、主食を作り続ける農家をみなでどう支えるのかってことが大事なんじゃないか。コメは安ければ安いほどいいというのが正論なのか。もしそうならその安いコメを誰が作るのか。
とりあえず「作る人」のことを知った方がいい。「みんな一度田んぼを手伝ってみたら?」という我が友人農家の意見に大きく賛成である。
※AERA 2025年6月9日号
こちらの記事もおすすめ 「テキトーは『適当』 大量生産とは対極の世界で考える“先進国”の意味」稲垣えみ子