
元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
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昨今の「コメ騒動」を見ていてどうにも解せぬことあり。というのは、今やコメの値段が下がるかどうかを国民レベルで固唾をのんで見守る構図となっているが、仮にあれこれの対策が奏功して値上がり前のレベルに落ちたとして、それで本当に「あーよかったよかった」ってことになるのだろうか。
コメの値上がりの理由については種々言われているが、大きく見れば、結局はコメが足りていないのではないか。なぜってコメは「食の多様化」により長らく人気は低落傾向で、コメ離れとかコメ余りとか言われ続けてきた。放っておけば値崩れを引き起こすと、国はコメを作るなという重圧を農家にかけ続けた。
農家にとってみれば、コメを作る意欲は下がる一方である。余りがちなので値段は上がらず、なのに、燃料や農業器具や肥料の値段は上がる。「コメは作るほど赤字」は今や零細農家の常識だ。しかも米作りをやめれば国から補助金がもらえる。