都内の小規模マンションに住む40代男性も住民同士のトラブルについて明かす。

「昨年からマンションの中庭にタバコの吸い殻が捨てられるようになって、多くの住民からその対処を求める声が上がったのですが……調査してみると原因は70歳を超える男性住人でした。それも、認知症を患っていたようで、管理会社を通じてポイ捨てをやめるように警告しても直らない。エレベーターなどで顔を合わせれば、笑顔で挨拶してくれる男性なので、みんな強く言うこともできず、管理会社に中庭の清掃をお願いするほかありませんでした」

 別の湾岸エリアのタワマン住人は、「ゴミ置き場に、有料ゴミ処理券が貼られていない粗大ゴミがいつでも放置されています。外国人の住人がルールを理解せずに捨ててしまったのでしょう」と話す。

 そのマンションの掲示板やエレベーター内には、放置された粗大ごみに関する日本語、英語、中国語の警告文が貼られているが、改善の兆しは見えないという。

「◯◯君は今日も元気だな」

 近年、このように、住人の高齢化や属性の多様化の影響もあって、トラブルは増え続けているのだ。

 マンション管理をめぐる住民トラブルを解消するにはどうすればいいのか。そのためには、管理組合内での活発な議論や“賢い管理”を学ぶ姿勢が求められるという。

 前出の竹中さんも「最も多いトラブル事例である騒音問題も、住民のコミュニケーションが活発なマンションでは起こりにくい。面識のある子どもなら、大声で騒いでいても『◯◯君は今日も元気だな』と感じるからです」と話す。

 高齢化の進展などにより、管理組合の理事のなり手不足という問題も表面化している。組合員がマンション管理に積極的に参加するようになれば、多くの問題は解消されるようになるかもしれない。

(ジャーナリスト・田茂井治)

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