多くのマンションでは、住民同士の交流が少ないのが実情です。そうした中で管理組合の運営を進めていこうとすると、特定の人に依存しがちになり、熱心な人がずっと理事を続けるようになることは珍しくありません。そうなった時、その人に意見を言ったりすると対立を生むので、あまり強く言えなくなってしまうのです。

夏祭りや餅つき大会

 資産価値の高いマンションの管理組合はダイバーシティー、つまり多様性が進んでいます。高齢の役員も若い役員もいて、開かれた運営をしています。独善的な運営に困っていたら、管理規約を変え役員を再任できる上限期間を決めるなどの対策を取ってはどうでしょう。

 管理組合の活動への積極的な参加を促すためには、マンションのコミュニティーの活性化がカギになります。例えば、マンション内で夏祭りやつき大会を開催することで、コミュニティーが醸成され「自分たちのマンションは自分たちで守る」という意識が育まれていきます。また、理事会も、例えば修繕積立金の引き上げを行う際は、住民向けの説明会を開催し、そのプロセスを可視化することが大切です。透明性の高い運営を行うことで、マンション管理に対する住民の関心が高まり、次は自分が役員に立候補しようという流れが期待できます。

「良質なマンション管理組合は一日にして成らず」です。日々の小さな取り組みの積み重ねこそが、信頼される管理組合を育て、マンション管理の健全化につながっていきます。

(構成/編集部・野村昌二)

さくら事務所提供
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