
分譲マンションに住む以上、避けて通れないのが「管理組合」だ。区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では、すべての購入者に管理組合への加入が義務づけられている。その目的は、エントランスやエレベーター、内廊下、駐車場、駐輪場、ゴミ置き場など共用部の適切な管理。運営は住民によって構成される役員が担う。ただ、役員の仕事は建物の維持管理や会計、住民間の調整など多岐にわたり、月に一度程度は理事会にも出席しなければいけない。負担は重く「役員になりたくない」という人は少なくない。そもそも、マンションの管理組合はなぜ必要なのか。マンションコンサルティング大手さくら事務所の山本直彌氏に聞いた。
* * *
最大の理由は、マンションの「資産価値」を維持し、さらに向上させていくためです。
資産価値には、2つの軸があります。まず「流通可能性」。住んでいるマンションを将来的に売却する際、市場で高く評価されるかということです。もう一つの軸は、「居住快適性」です。マンションは衣食住の「住」の要素も備えているわけですから、暮らしていて満足かどうかというのも、広義の意味での資産価値になります。
管理組合としての関係性が希薄
加えて、管理会社と適切な距離感を保つためにも管理組合は重要です。管理組合も管理会社も、マンションの資産価値を維持向上し、住みやすい環境にしていきたいという思いは一緒です。そのため基本的には同じベクトルを向いています。しかし、修繕工事など対価が発生する際、管理会社に任せきりになっていると、本来必要のない高額な修繕を提案されるなど、管理組合が不利益を被る可能性があります。
最近は、管理組合の役員をやりたくない理由に、「世代間ギャップ」をあげる人も少なくありません。実際、高齢の役員が他の役員の話を聞かなかったり、自分の価値観を押し付けたりすることなどがあります。しかし、これは年齢の問題というより、管理組合としての関係性が希薄なのが要因です。