原菜乃華(写真:つのだよしお/アフロ)

「この人の声と感情を二時間ずっと浴び続けたい」

「原さんといえば、新海誠監督の『すずめの戸締り』のヒロイン・岩戸鈴芽の声優に大抜擢されたことはよく知られています。1700人以上の中からオーディションで選ばれたのですが、新海監督は原さんを起用した理由について、『オーディションではいつも、この人の声と感情を二時間ずっと浴び続けていたいだろうかと考えます。菜乃華さんの声と芝居は、まさにそう思わせてくれるものでした。本当に、ちょっと凄いですよ!』とXで発言していました。また、情報番組に出演した際も新海監督は『映画の脚本は自分の“子ども”みたいなものですから。1000人いても一目で声は分かるんですよ』と、原と巡り合えたことに喜び、彼女を絶賛していました」(映画ライター)

「すずめの戸締り」以降も、「ミステリと言う勿れ」(23年)や「恋わずらいのエリー」(24年)、「【推しの子】-The Final Act-」(24年)など、話題作に引っ張りだことなっている原。「ミステリ~」では、重要なシーンの撮影で感情を抑えきれずリハーサルで涙が出て、逆に本番では何の感情も湧いてこなくなり、何度やっても納得がいく演技ができずにトイレで初めて泣いたと明かしていた(「Yahoo! エキスパート」23年9月10日配信)。監督に直談判し、後日そのシーンを撮り直したというが、そんな熱い思いが詰まった演技が評価され、同作で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。

 また「推しの子」では、実写キャストの中では唯一アイドル経験がないにもかかわらず、見事な歌とダンスでアイドルを体現し、漫画から飛び出てきたかのようなアイドル・有馬かな役を演じ切った。ビジュアルだけでなく、かわいらしい声や歌声、そして役にひたむきなストイックさは原だからこそ表現できたものだろう。

 今年だけですでに4本のドラマに出演しており、7月期のドラマ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系)では、ヒロインのライバル役としての出演も発表されたばかり。一方、映画でも主演作の「見える子ちゃん」が6月に、『ババンババンバンバンパイア』が7月に公開される予定だ。

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