
ディレクターのリクエストに笑顔でうなずき、セリフの言い方や演技を変えていくアレックス・ラミレス──。俳優としても“最強助っ人”ぶりを見せつけるレアな撮影現場に密着した。AERA 2025年6月9日号より。





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ベースボールカフェのモニターで試合の行方を見守るファンたち。最終打者が三振で倒れ、店内にはため息まじりの重い空気が広がる……と、そこへ背番号3の大きな後ろ姿が、こんな言葉とともに入ってくる。
「トゥモロー・イズ・アナザー・デー(明日は明日の風が吹く)」
その人物とは、日本で多くのタイトルを獲得したことで、プロ野球の「最強助っ人」として、絶大な人気があったあの人、アレックス・ラミレスだった──。
役者として呼ばれてうれしい
こちら、横浜DeNAベイスターズが公式SNSで公開中のオリジナル連続ショートドラマ「神様、おねがい」のワンシーン。ドラマを通じて神様にお願いするのは、チームが26年間果たせずにいるリーグ優勝だ。公開時期のチーム成績に応じてストーリーの変化もありうる、「シーズン連動型」のショートドラマという試みにも注目が集まっている。
「縦型のショートドラマで、かつシーズンと連動する作品というと、おそらく球界初。こうしたSNSのコンテンツをきっかけに、球場に足を運んでくれる人がひとりでも増えればいいですね」と、ベイスターズ広報も胸を張る。
これまで荒波翔、高木豊などゆかりのレジェンドたちがゲストとして登場してきたそのドラマに、16年から5年間DeNAの監督を務め、抜群の知名度を誇るラミレスが本人役で登場する。
ベイスターズ監督を退任した後も、球界での指導者としての活動に加え、社会貢献やメディア発信など、さまざま活躍しているラミレスの、ちょっとレアな撮影現場を見せてもらった。
この日撮影したのは、冒頭の登場シーンで終わる第4話(公開中)と、それに続く第5話(6月2日公開)。1話3分ほどの、まさにショートなドラマだが、映画「PERFECT DAYS」で、ヴィム・ヴェンダース監督とタッグを組んで共同脚本・プロデュースなどを務めた高崎卓馬が脚本を担当するなど、笑いあり、感動ありの本格的な作品に仕上がっている。