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 人材確保のために初任給を上げる企業が相次いでいる。その中でも59万円と群を抜くのがGMOインターネットグループ(東京都)だ。2023年春の採用から始めた新たな制度とはどういったものなのか。

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 初任給は月額59万1675円。

 求人情報を収集して分析するフロッグ(東京都千代田区)が2026年春の新卒を対象にした求人を調べたところ、1位となったのがGMOだった。

 フロッグはマイナビやリクナビに掲載された約4万社の求人情報を集計。調査は23年春新卒の採用時から始め、今回が4回目で初めて初任給の額が大きいベスト15位を公表した。「20万~30万円」などと給与額に幅がある場合には下限を採用した。

 GMOは、ドメインの登録と販売や証券や決済、暗号資産などネットを使って多彩なビジネスを展開している。このため、自由な発想で新しい事業に取り組む人材が不可欠だとして、23年春の採用時、これまでの採用制度に加え、「新卒年収710万プログラム」という新制度を導入した。

 GMOは社員のことをパートナーと呼んでおり、営業利益率が20%を超えた場合、その分を社員に給料として還元するルールも設けている。

 そんな中、給料で日本一をめざそうよということになり、「まずは新卒からやろう」となったという。他社を調べると、新入社員の年収が700万円という会社があり、それを10万円上回る金額を付けた。

 「710万プログラム」には条件がある。高度な専門技術を持ち、グループ経営の将来を担うという位置づけで、従来の新卒よりも高いパフォーマンスを発揮することが強く求められている。期限は2年間で、新卒が若手社員よりも年収が高い現象も生じるものの、すでに入社している社員もプログラムの対象にしている。

 23年には27人、24年には23人、25年には24人がこのプログラムで入社した。今のところ退社した人はいない。

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