初任給ランキング

 「こちらも初めての取り組みで、緊張感を持って始めました。その結果、(採用した人はみな)優秀で活躍しています。グループが注力する事業にがんがん突っ込んでやっています」と人事担当者は誇らしげだ。

 フロッグが発表した初任給の上位15社にはIT企業のほか、薬局チェーンやコンサルティング会社がめだっている。業種別にみると、ITが6社、コンサルタントが3社、機械が2社で、あとは化学、医療、小売、不動産が1社ずつとなっている。

 機械のうち1社は、国策として経済産業省が全面的に支援する半導体メーカーのラピダスだ。設立は22年8月で、北海道の千歳市に巨大な工場を建設。27年の量産をめざしているが、人材獲得に懸命だ。半導体分野では、本県で操業しているグローバル企業のTSMC(台湾積体電路製造)が近く第二工場を建設する予定で、技術者の獲得合戦が激しさを増し、給与の引き上げは今後も続くとみられる。

 フロッグは業種別の初任給ランキングも作成。トップは「医療/医薬/バイオ/化粧品」で、22万4850円だった。2位は商社の22万3982円で、3位は「コンサルティング/専門事務所」の22万3779円、4位は「住宅/不動産/建設/土木」の21万9889円、5位が「IT/Web/ゲーム/通信」の21万9871円だった。

 全体でみると、26年春の新卒社員の初任給の平均は21万6621円。3年連続で上昇しており、3年前と比べて1万6011円高かった。景気が腰折れしなければ、人材獲得競争は今後も激しさを増し、初任給も上がり続けることが想定される。

 今回のフロッグのランキングには入らなかったが、日本を代表するような大企業でも初任給を上げる動きが顕著だ。

 三井住友銀行は今春から大卒総合職の初任給を25万5千円から30万円の大台に引き上げた。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングも新入社員の初任給30万円を今春から33万円にした。

(経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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